みやじ の登城備忘録

2018.4月スタートの続日本100名城スタンプラリーをメインに活動をしています。お城の散策と同時に地元B級グルメも堪能します。


お城巡りランキングクリックしてね!

上総・峰上城登城!東日本最強と呼ばれた 7重堀切 ~

上総・峰上城

別名: 上後城。

所在地: 〒299-1753 千葉県富津市上後715 。

城地種類: 山城。

築城年代: 天分二年(1533年)以前。

築城者:真里谷武田氏 。

主な関連施設:無し。

文化財史跡区分: 市指定史跡。

7重堀切・1条目

f:id:Gorgon:20220212222217j:plain

千葉県富津市に東日本最強の呼び声高い、7重堀切を有する山城があると聞き、早速見に行ってきました。

2022.1.3登城。

峰上城概要:

国道465号線と奏川が交わる点の南側に位置する、標高131m、比高99m(こども公園から)の山頂に築かれた山城で、房総の城の特色でもある砂岩を削崖して城塁とする構造で造られています。城の歴史は天文3年(1534年)に真里谷武田氏は家督をめぐる内訌が起こりました。その後真里谷武田信隆は峰上城などに籠もり、小田原北条氏に支援を頼むなど色々と手を尽くしましたが、天文6年(1537年)に足利義明及び真里谷武田信応らの軍勢に峰上城を包囲され最後には降伏開城したと云われています。

北側3条目堀切

f:id:Gorgon:20220212231205j:plain

ここ峰上城に駐車場はありません、城域は私有地が占めているので車で来られる方はこちらに駐車して訪れましょう。(35.213394, 139.930500)

北側からの登城となりますが、これは北側から数えて3条目の堀切となります。

 

2の郭西側

f:id:Gorgon:20220212231900j:plain

先程の堀切から南に向かって進んで行くと民家が2軒あり(地主さん)畑と民家の間を通って3の曲輪横を進み、こちらの2の郭まで小道があるので迷う事はありません。しかしご覧の通り台風の影響で倒木が邪魔するので、注意して進んでください。

 

 

f:id:Gorgon:20220212232533j:plain

先程の2の曲輪西側通路に、この様な排水の為の穴が開いていました。この城域内は水捌けが悪いうえに湧水が多いので、水には困らないが水の処理が大変そうな感じを受けました。

 

環神社へ

f:id:Gorgon:20220212233319j:plain f:id:Gorgon:20220212233348j:plain

2の曲輪南側に1の郭があり、その南端の一段高い所に環神社が祀られています。

この後ろの土塁みたいな盛り上がりの裏が通称「七つ堀切」と呼ばれている連続堀切があります。(ここの高さが半端ないです、堀切の高さではありません)ここでいったん北側へと戻り、” 尾崎曲輪 ” を見に行きます↓

 

大池跡

f:id:Gorgon:20220212234354j:plain

ここ尾崎曲輪にある池は3つほどあり、現在でも水が溜まっている感じでした。ただ、この場所に行くまでにぬかるんでいる場所があるので、梅雨から秋までは通行が難しいと思います。(行くなら冬ですね)

 

殿井戸

f:id:Gorgon:20220212234848j:plain

名前の由来は分かりませんが、現在でも使用しているみたいです。ここ峰上城は本当に水が豊富で、籠城してもまったく水には困らなかったと思います。

 

城南西・出曲輪の堀切

f:id:Gorgon:20220213083534j:plain

1の曲輪西側にある腰曲輪と出曲輪間の堀切ですが、高さはそれ程でもないのですが、堀切内の ” ” が凄い!なぜ、こんなに距離をとる必要があったのか?ここからいよいよこの城最大の見所ポイントである “ 七つ堀切 ” と呼ばれている7重堀切を見に行きます↓

7重堀切・1条目

f:id:Gorgon:20220213084545j:plain

1条目の堀切を西側から見たところです、ここに到着した時思わず声がでる。「うぉぉぉぉぉ~~~凄っ!!」写真左側(北側)の高さといったらもう、凄いのなんの、言葉を失い暫くの間、固まって凝視してしまいました。

どれだけ凄いか見てみましょう↓

 

 

f:id:Gorgon:20220213085308j:plain

高さ(深さ)はどれ位あるでしょうか?レーザーを家に置いてきてしまったので計測できませんでしたが、持参した「堀切下りる君10m仕様」が、まったくの寸足らずだった事を鑑みても高さは15m近くあるものと推測されます。(往時は垂直削崖だったとおもいますが、明らかに崩れて今の姿になっていますね)反対側(東)からも見てみましょう↓

 

1条目堀切・東側から

f:id:Gorgon:20220213085919j:plain

堀切の北側が崩れ、その瓦礫と落葉等の堆積物で堀底はかなり埋まってしまっている感じです。それでもこの、訪れる者を圧倒する迫力、半端ないです。南側の堀切側壁は崩れていないようなので、近寄って見てみます↓

 

 

f:id:Gorgon:20220213090503j:plain

見事な垂直岩盤堀切です、恐らく北側も築城当初はこんな感じの側壁だったんだと思います。(現在では崩れてしまっていますが…)ここである物が目にとまる、写真左下に写っている岩盤で出来た ” 畝状の堀内障壁 ” です。早速みてみましょう↓

 

 

f:id:Gorgon:20220213091440j:plain

うわぁぁぁぁぁぁぁ~~~これヤバっ!」静かな森の中で思わず声がでる!ここでテンション爆上がり!心拍数が200を超えてくる感じです。(あかんっ、よだれが出てきそう…)位置的にもう1畝ありそうだったのですが、確認できませんでした。(埋まっているのか?)時間が無いので先に進みます↓

 

1条目堀切を南側上から

f:id:Gorgon:20220213092519j:plain

環神社裏の高さと比べたら大した事はないですが、普通に高いです。(垂直岩盤堀切怖っ)この最初の1条目だけで十分に敵の戦意を削げるのに、七つも造るとは……。ここで回れ右(180度回転)、反対側の2条目堀切を上から見てみます↓

 

2条目堀切を北側の上から

f:id:Gorgon:20220213093308j:plain

はいっ、2条目の堀切も垂直岩盤堀切です、なにぶん垂直なもんでこれ以上前へ行けません。(ホント垂直って怖いな…高さ以上に高く感じるんだよな…)

ここで下に下りて2条目の堀切を両サイドから見てみましょう↓

 

2条目堀切・西側

f:id:Gorgon:20220213100604j:plain

こちらは2条目の堀切を西側から撮った写真となります。今回堀切を両サイドから撮影する理由は、東側と西側からとでは同じ堀切でもガラッと表情が変わるからです。

では東側からも見てみましょう↓

 

2条目堀切・東側

f:id:Gorgon:20220213101030j:plain

こちら側のほうが、堀切間の距離がありますね、側壁が崩れたからでしょうか。それにしても荒々しい堀切だな…。ここでまたこぶの上に上がり、2条目の堀切を南側から見てみます↓

 

 

f:id:Gorgon:20220213101607j:plain

2条目の堀切を南側の上から見た写真がこちら↑。何度も言いますが、垂直だと凄く高く感じるので攻め手の戦意喪失効果は抜群だと思います。ここでまた回れ右(180度回転)をし、3条目の堀切を上から見てみます↓

 

3条目堀切を北側上から

f:id:Gorgon:20220213102055j:plain

3条目の堀切を北側上から見たところです、ここも垂直岩盤で実際の高さ(深さ)よりも高く感じます。でも南側の側壁は垂直ではなく、やや傾斜がついているように見えます。早速下りてみます↓

 

3条目堀切を西側から

f:id:Gorgon:20220213102526j:plain

この3条目の堀切は堀幅があります、北側は垂直に近い感じで鋭利ですが、南側は明らかに傾斜がついています。(もしかしたら手抜きではなく、南側の側壁は崩れてしまって現在の傾斜になってしまったのかもしれません)東側からも見てみます↓

 

3条目堀切を東側から

f:id:Gorgon:20220213102918j:plain

サイドが変わると表情がガラッと変わりますね、本来ならここでコブの上に上がり、上から4条目の堀切を撮るのですが、さすがに同じような構図で、しかも垂直岩盤なので見た目も同じなのと、この上り下りを7回するのはいかがなものか(当日、峰上も含めて山城4つ攻略)体力と時間の問題もあるので4条目からはやらない事にしました。

 

4条目堀切を西側から

f:id:Gorgon:20220213103642j:plain

4条目堀切の西側は台風の被害が顕著に表れています、普通なら「こんな所行くのやだな」と思うのですが、昨日に ” 天神山城 ” という悪魔のような山城に行った後なので、全然楽勝で鼻歌まじり(楽しいなっ、楽しいなっ、連続堀切楽しいなっ♪ )での散策です。

 

4条目堀切を東側から

f:id:Gorgon:20220213104337j:plain

やはり、西側と東側とでは堀切の表情がガラリと変わりますね、まるで人間の心(表と裏)みたいです。(ここも堆積物が多く、かなり埋まっている感じです)

これで堀切も4つ目、普通ならこの辺でやめとくのにあと3つも造るとは…。何か執念のようなものを感じますね。

 

5条目堀切を西側から

f:id:Gorgon:20220213105109j:plain

この5条目の堀切を見ている時に思ったのですが、木が枯れたり強風で倒れる時に、木の根が堀切の側壁を破壊しながら倒れるから堀切の側壁が崩れていくのではないか?と、思いました。(遺構保存の観点からみると、やはり際どい部分に生えている木々は伐採すべきではないでしょうか…)

 

5条目堀切を東側から

f:id:Gorgon:20220213110030j:plain

この辺りの岩盤は少し強度的に弱い感じなので、今後少しづつではありますが、確実に崩れていくと思います。写真左上の木も、あとどの位生えていくか分かりませんが、枯れて倒れる時、あの根が抱え込んでいる部分は恐らく崩落すると思います。

 

6条目堀切を西側から

f:id:Gorgon:20220213110701j:plain

6条目堀切を見た時に感じたのは、「ここに来てまた本気出してきたな」です。堀切の高さと幅もさることながら、南側の側壁は1条目を彷彿とさせる見事な垂直岩盤堀切となっています。近寄って南側側壁を見てみます↓

 

6条目堀切・南側側壁

f:id:Gorgon:20220213111213j:plain

良いですねぇ~、これぞ垂直岩盤堀切の真骨頂だと言わんばかりの素晴らしさです。まさに1条目の堀切を彷彿とさせます。ここである事を思いました、もしかしたらこの大量の堆積物を除去したら、1条目の堀切みたいな畝状の堀内障壁が出てくるのではないか?(出てきたら最高ですよね)。

 

6条目堀切を東側から

f:id:Gorgon:20220213111758j:plain

通常、堀切内は、両サイドどちらから撮っても同じような写真になるのですが、ここ峰上城の堀切は西側と東側とではまったくと言っていい程、堀切の表情が変化します。

 

7条目堀切を西側から

f:id:Gorgon:20220213112208j:plain

先程の6条目とはうって変わり、こちらは手抜き感が否めない感じ。それでも普通の山城だったら主役級の堀切です。(堆積物が相当ありますね)

因みに、ここ七つ堀切の見学には注意が必要です。特に堀切群の西側は岩盤むき出しの斜面になっているので、滑落すれば大怪我は避けられず、打ちどころが悪ければ三途の川を渡る事になるので、堀切間の移動は必ず東側から行って下さい。

 

7条目堀切を東側から

f:id:Gorgon:20220213112503j:plain

これで七つ目です、ここまで執拗に堀切を施すあたり、何かとてつもない執念のようなものを感じました。正直ここまで見事な連続堀切は国内でもそうは無いのではないでしょうか?次の城へ行かないといけないので、ここで峰上城の散策を終了。帰り道でこの城の城塁をよく観察したので一枚↓

 

f:id:Gorgon:20220213113033j:plain

ここ峰上城は城の周囲をこのような削崖地形で囲まれており(仕上げで人工的に削っている模様)堀切と合わせて考えるとかなり難攻不落的な堅固な山城の印象を受けました。とても素晴らしい連続堀切を堪能し、大満足で下城しました。

 

峰上城ログ

f:id:Gorgon:20220213115040j:plain

時間:2時間13分、かかった時間の半分以上は7重堀切に費やしました。

距離:2.4km、倒木と急斜面と恐怖との格闘があるので、疲労度は7kmの山城攻めに相   当。

標高・比高:標高は131m、駐車場からの比高は99mとなります。

 

広域

f:id:Gorgon:20220213115708j:plain

東側と南側は山深い、敵が南から攻めてくるのだろうか?あの ” 七つ堀切 ” は本当に七つも必要だったのかな…?

 

峰上城

見所ポイント七つ堀切、各曲輪、尾崎曲輪、大池岩盤堀切鋭い城塁、等。

駐車場:峰上こども公園駐車場(10台以上)。

総評:2021年のお城EXPO会場で、親切な方に教えてもらった山城(峰上城)ですが、前評判以上のとても素晴らしい垂直岩盤の連続堀切を有する山城でした。久しぶりに山城で大声が出る程に感動する事ができ、とても充実した時間を満喫する事ができた事を、教えてくれた方に感謝のほど申し上げます。別の理由(七つ堀切での際どい箇所での移動の恐怖)で声も出ませんでしたが、それなりの装備と気合と経験と覚悟と保険があれば行ける場所なので、興味がある方は週末あたり訪れてはいかがでしょうか。

因みにその日の夜、夢の中に峰上城の堀切が出てきて、朝起きたら大量の汗をかいていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

記事が気に入った方はクリックして下さい。
お城巡りランキング