仙当城
別名:不明。
所在地:〒389-2703 長野県下水内郡栄村堺
城地種類: 山城。
築城年代:詳細不明。
築城者:市河定顕。
主な関連施設:無し。
文化財史跡区分: 村指定史跡。
主郭からの巨大空堀(堀切)
長野県栄村に、「超巨大な空堀や、長大な土橋等が良好な状態で現存する凄い山城がある」というので行ってきました。2022.11.26.登城。
仙当城概要:
築城年代等、詳細は不明ですが、奥信濃の国人「市河氏」によって築かれたと云われています。この市河氏は、信濃に侵攻してきた武田氏に与する事になりますが、武田氏が滅亡すると上杉氏に属し、上杉氏が会津に転封になるとそれに従うこととなり、ここ仙当城は廃城となったと云われています。
登城口
登城口が分かりにくく、ここを見つけるのに40分もかかってしまった。(冬季は説明看板が撤去されるので注意)矢印の所を進むと城址標柱があり、その先を登って行くと30分位で城跡に到着します。場所の緯度経度(36.971499,138.544017)
先程の矢印をどんどん山へと向かって登って行きます。(1本道で分岐はありません)
大手1条目の堀切
登城口から22分位でこちらの堀切に到着します。ちょっと藪になっていますが、目視で確認できました。現在、堀切のある尾根横に道が造られているので堀切の横を通り、進む事ができます。
先程の堀切の先にこちら↑の2条目の堀切があります。ここの堀切も藪に覆われていますが、その存在を目視で確認する事ができます。
北西の竪堀
こちらの竪堀は主郭の西側にある横堀から伸びている竪堀で、とても長い竪堀となっています。
西側の畝状阻塞?
こちらの畝状の土塁だが、長さが極端に短い!長さは2m位か?これでは防御施設とはいえず、一体何のための土塁なのか…?
先程の畝状阻塞からみて南側にある横堀と竪堀、その先の堀切となります。その先(南端の堀切)を見に行ってみます↓
Ⅱ郭南側の堀切
城の南側を守る第一防御線がこちらの堀切。尾根筋はもちろんの事、そのまま西側の斜面を竪堀として下っていきます。
堀切の東端部分です。この堀切は東側は竪堀になっておらず、土橋状の道となっており、その南北に少しずれた位置に竪堀がそれぞれ配置される造りになっています。
その土橋状の道から堀切を見たのがこちら↑。薬研堀のしっかりとした堀切となっています。
Ⅱ郭からみる南端堀切
Ⅱ郭から堀切を見たのがこちら↑、高さ(深さ)角度共にとても素晴らしいですね。せっかくなので、この堀切を動画に収めました↓
南端大堀切・動画
Ⅱ郭
こちらがⅡ郭となります。ご覧の通り、藪がなくとても見学しやすくなっています。地元保存会の方々が綺麗にしてくだっているおかげです。(ありがとうございます。)
南端堀切の東側竪堀
先程の堀切東側にある、Ⅱ郭側の竪堀となります。見た目は竪堀っぽくないですが、このまま東側斜面へと下って行きます。
Ⅱ郭北東の巨大空堀(堀切)
こいつ↑を見た時に思わず声が出た!「うわっ!何だこれっ!」。「ウソでしょっ!」
今まで見た事もない位の、超巨大な空堀(堀切)がそこにはありました。これは写真には収まらないので、動画に収めました↓
Ⅱ郭からの巨大空堀(動画)
長大な土橋
主郭に行くためには必ずここ(土橋)を通らないと主郭には行けません。しかも土橋は細く、長さが30m近くあるので寄せ手は難儀する事間違いなし。では、早速こちらの土橋を渡ってみましょう↓
土橋から見た大空堀(堀切)となります。写真ではいまいち伝わりませんが、高さ(深さ)が凄く、凄まじいまでの土木量となっています。
土橋を北側から
土橋を渡りきった所で一枚。しかし凄い土橋だな、ここまで長大な土橋は見た事無い!
この土橋を渡りきると主郭に辿り着きます↓
主郭
Ⅱ郭よりも小さいサイズの主郭となります。ここも整備がされており、藪などは無いので見学が容易にできるようになっています。ここで先程の巨大空堀を主郭側からも見てみます↓
主郭からの巨大空堀
思わずため息が出る!「はぁ~~~、凄い……」。やはりこの写真だけではこの巨大空堀の凄さが伝わらないので動画に収めました↓
主郭からの巨大空堀(動画)
この超巨大な空堀の中に1本の畝状の仕切り土塁があるのだが、これは一体どういう意味があるのだろうか?近くにある今井城にもあった例のやつだ。
主郭東・腰郭
主郭の東側にこちらの腰郭があります。細長い長方形をした小さな郭となります。
その腰曲輪から見た主郭の城塁(切岸)となります。意図的に削り高低差を出しています、主郭周りも相当な土木量の工事が行われた事が分かります。これだけの土木量の工事を国人の市河氏単独で行われたとは考えにくい、武田か上杉が関わっていますねこれは。
Ⅲ郭~Ⅳ郭間の竪堀
さらにこの下(東側)に畝状阻塞があります。竪堀を下って、見に行きます↓
少し分かりにくいですが、こぶ状の土塁が3つ並んでいます。ただ、こちらの土塁は長さがとても短く(1.5m位)これが防御上、何の役に立つのか?まったく分かりませんでした。ここで竪堀を戻り、Ⅳの郭へと向かいます↓
Ⅳ郭
主郭の北側に位置し、細長い二等辺三角形みたいな形をしています。この郭からも主郭城塁(切岸)を見てみます↓
400年以上も経過しているのに、これだけの形状を維持しているこの奇跡に感謝!このⅣ郭の先に堀切があるので見てみます↓
Ⅳ郭北側の堀切
こちらの堀切は、ややおとなしめですね。(今までの遺構が凄すぎた)ここでいったん来た道を戻り、大手側へと向かいます↓
戻って来ました、大手側に。こちら↑は位置的には、主郭の北西になります。この反対側にこれまた短い畝状の変則土塁と竪堀群があるので見に行きます↓
藪などで上手く撮影できません、畝状竪堀群はこんな感じでした。これで仙当城の散策は終了、後ろ髪を引かれる思いでしたが、次の城へと向かいました。
仙当城ログ
時間:2時間14分。じっくりと細部まで見学したので、2時間以上かかりました。
距離:3.5km、登城口が分からずうろつかなければ3km位だったか?。
標高・比高:標高は455m、比高は157m(城址標柱からの比高)。
広域
川に挟まれ舌状に突き出た山を巧みに利用した、まさに天険の要害といったところか。基本的にかなり山奥の山城となります。
仙当城
見所ポイント:超巨大な空堀、畝状阻塞、大堀切、竪堀、長大な土橋、中土塁、等。
駐車場:基本無し(登城口付近に1台と他は路駐)。
総評:現在の長野県栄村に位置しており、大巻川ともう一つの西側河川とに挟まれた舌状の山岳に築かれた山城。最大の見所ポイントは城の東側に展開する超巨大な空堀(堀切)で、空堀中央付近に仕切り土塁を持つ。他にも堀切や竪堀、巨大な横堀等、訪れる者を驚愕の土木量で圧倒します。こんな圧倒的土木量の土の城、” 仙当城 ” に週末あたり訪れてみてはいかがでしょうか。