出羽・次年子舘
城地種類:山城。
築城年代:不明。
築城者:不明。
歴代城主: 不明。
文化財史跡区分:不明。
南西の連続空堀
山形県北村山郡大石田町に、メジャーではないが、単郭の縄張りに約30条もの畝状竪堀群、二重横堀、四重の空堀が施された見事な城があるというので行ってきました。2023.5.4.登城。
次年子舘概要:
次年子川西岸の舌状台地先端に位置しており、(標高268m、比高57m)舟形町~村山町を繋ぐ街道沿いに築かれた山城。築城年代や築城者等の詳細は不明で、詳しい事はほとんど分かっていません。城跡は単郭で、約30条の畝状竪堀群と二重横堀、そして南西の尾根に施された四重の堀が良い状態で現存しています。
城域到着
Googleマップで「次年子舘」を検索し、城跡の真下に到着。その道路脇が少し広くなっている所に車を停め、その反対側の斜面に先人達の足跡があるのでそこから斜面を直登(30m位)します。
南側・二重横堀
城域に着き、少し進むとこちらの二重横堀が目に飛び込んできます。この横堀は城の東側の虎口まで続いていきます。この横堀は後で見学するとして、まずはそのまま真っすぐ進み南西尾根の連続空堀を見に行きます↓
この辺りの畝状土塁と空堀は、堀切内から続いている代物で、そのまま竪堀のように斜面を下っていきます。このような造りの防御施設はとても面白い。
こちらの堀切内から続く畝状土塁と空堀は、のちほど動画で紹介します。
四重堀を南西から
こちらの遺構、人によっては四重堀切と表現する人もいるが、正直いって何と表現したらよいか迷ってしまう。個人的には「大きな堀切の内部に、畝状土塁で仕切られた空堀が4つある」と表現したい。
連続堀・北西部
大堀切内に施された畝状土塁と空堀は、そのまま北西へと下って行き、竪堀として機能していきます。このまま斜面を横移動し、北側斜面の畝状竪堀群を見に行きます↓
北側・畝状竪堀群
城域の北西~北東までを、このような畝状竪堀群が約30条ほど施されています。ただ、その状態はあまり良くなく、かなり劣化が進んでいて埋まりかけています。
先程の竪堀群の上部は、このような主郭の切岸となっています。
北東辺りの畝状竪堀群も北西や北側と同じく、劣化が進み埋まりかけています。このまま東端まで進み、折坂虎口の桝形を経由し、主郭内部へと進みます↓
囲み土塁
主郭の虎口部と北西部、そして南西~南側の部分にはこのような土塁が施されています。
土塁の高さは1mちょっと、あるでしょうか?こういった部分もしっかりと現存しているので、見応えがあります。
主郭から見る連続空堀
圧巻ですね、素晴らしいっ!写真だけではこの素晴らしさが伝わらないので、動画を撮影してみました。↓
連続空堀・動画
この連続空堀の右側(西側)はこんな感じ↓
そのまま竪堀として、豪快に斜面を下っていきます。
そしてこちらが左側(南側)、ここからこの畝状土塁で構成された空堀がそのまま南側へと横堀として機能しながら、南側斜面を竪堀として下っていきます。
これですね、この様子も動画に収めたので見てみましょう↓
繋がってるんですよ、この畝状土塁で仕切られた空堀が…。これで主郭の散策は終了、東側の虎口へといったん戻り、そこから二重横堀を見に行きます↓
二重横堀・始点
東端の虎口から、この二重横堀が南側まで続いていきます。
高低差のある二重横堀で、まさに「二段の横堀」と表現したほうがいいのかも。
数百年も経過しているので、ある程度の劣化は仕方がないのかな…。
ご覧の通り、東端から南側までしっかりと二重横堀が敷設されています。
二重横堀・南端
二重横堀の南端部は、連続空堀が南下していき、竪堀になっていくその横っ腹まで続いていきます。これで次年子舘の散策は終了、次の城へと向かいました。
次年子舘ログ
時間:1時間24分、小さい砦ぐらいの大きさなので歩き回っても疲れません。
距離:1.4km、北東~南西に展開する縄張り、歩きやすいので疲れません。
標高・比高:標高は268m、比高は57m。(多少の誤差あり)
広域
とても山深い場所の舌状台地先端に築かれている、ここ次年子舘。次年子川沿いに通っている街道の監視には、まさにうってつけの場所である事がうかがえます。
出羽・次年子舘
見所ポイント:四重空堀(堀切)、二重横堀、畝状竪堀群、囲み土塁、虎口、等
駐車場: 基本無し。(直登付近にスペースあり)
総評:現在の山形県北村山郡大石田町に位置し、標高268m(比高57m)の次年子川西岸の舌状台地先端に築かれた城砦。眼下に流れる次年子川沿いに通っている街道の監視と、この地域の軍事拠点として機能していたと考えられる。単郭のシンプルな縄張りではあるが、巨大な堀切内部に施された四重空堀、二重横堀、数十条にも及ぶ畝状竪堀群は、訪れた者を圧倒し、感動させること間違いなしの見事な城跡となっている。こんな見所満載にして、見応え抜群な城跡に週末あたり訪れてはいかがでしょうか。