玄蕃尾城
別名:内中尾山城(うちなかおやまじょう)。
所在地:〒914-0313 福井県敦賀市刀根 〒529-0533滋賀県長浜市余呉町柳ケ瀬 。
城地種類: 山城。
築城年代: 1582~1583年(天正10年~11年)頃。
築城者:柴田勝家。
主な関連施設:余呉湖観光館(続100名城スタンプ)。
文化財史跡区分: 国指定史跡
主郭西側の横堀
2017年4月6日の「城の日」に財団法人日本城郭協会が続日本100名城を発表しました、福井県からは 福井城・佐柿国吉城・越前大野城・ そしてここ” 玄蕃尾城 ”が選ばれました。スタンプを押したうえで登城数をカウントしたいと思います。今回の ” 玄蕃尾城 ”をもって続日本100名城、登城42城目とします。
2022.5.2.登城。
玄蕃尾城概要:
場所は現在の福井県敦賀市刀根になります。標高461m(主郭部)内中山の山頂に築かれた山城で、北国街道を監視する軍事上の要衝として築城されました。城域は南北に約250m、東西に約150m程の縄張で4つの郭を土橋で繋ぎ、各所に馬出を配置し、深い空堀で郭を守る構造でした。
玄蕃尾城縄張図
パンフレットにあったこちら↑の案内図をもとにして、玄蕃尾城をレポートしていきたいと思います。
登城口
滋賀県側からだと、柳ケ瀬トンネルを出てすぐ(出口手前から減速して下さい)に右折となります。その後は案内看板どおりに進めば林道の終点がこちらの駐車場となります。(簡易トイレあり)因みにこの辺りは携帯圏外ですので注意が必要です。
説明看板
駐車場から山道を登って行くと、途中に出てくる説明看板となります。この看板は文部省とあるので、文部科学省になる前に作られた説明看板ですね。
南郭南の堀切
山道を登り切り、尾根に出て暫く進むと最初の郭(南側に位置するので南郭とします)が現れます、その南郭と尾根とを隔てる堀切となります。この堀切の先に南郭へと入る虎口があります↓
こちらがその虎口となります。ここから南郭内へと入っていくのですが、その前にこの正面(南郭の西側)にある横堀を見てみます↓
横堀というにはやや弱い感じが否めなくもない…。良いんですっ!土なんですから、400年以上経っているんですから…。
南郭
南郭を南側から見た一枚となります。皆さんもうお気付きだと思いますが、郭の周りを土塁がぐるりと一周巡っています。ここから北へと進み、縄張図の「②虎口郭」へと進みます↓
南郭北側の堀切
場所は縄張図の①となります。縄張図にある虎口郭ですが、名前がちょっとアレなので以下「中郭」と表記します。ここで少し移動して、こちらの堀切を西側から見てみます↓
南郭と中郭とを隔てる堀切で、虎口間は土橋で連結する構造となっています。ここから土橋を渡り、中郭の入口である中郭東虎口へと進みます。
中郭・東虎口
南郭から中郭へと進む場合、堀切の土橋を渡り中郭の南側から攻撃を受けながら、進まなければなりません。しかも正面ではなく虎口が左手にあるので、とても攻めずらい。良く考えられた秀逸な縄張設計となっています。
中郭内部
こちらは中郭の内部(南側)となります。やはりこちらの郭も、囲み土塁がグルリと一周巡らされ防御施設としての役割を果たしています。ここで中郭中央付近から東側を見てみます↓
場所は縄張図の②となります。正面の馬出南側と土塁との間がまるで堀切みたいで面白いので見に行ってみます↓
良いですね~、この辺りから土塁の高さが増してきます。この左手の土塁は主郭南にある馬出のものとなります。この立派な馬出がとても気になるので、早速見に行きます↓
場所は縄張図の「馬出郭」となります。ここも立派な土塁で周囲を囲まれています。南側と東側から攻めてくる敵から主郭南虎口を守るのはもちろんのこと、いざという時はここから打って出て敵を迎撃するという良く考えられた造りとなっています。
主郭南虎口と土橋
馬出から土橋を渡り主郭へ入る、その土橋の両脇は空堀という、まるでイラストに出てくるような光景がここ玄蕃尾城では見ることができます。主郭内部へ入る前にこの向かって左側(西)の横堀を見てみます↓
主郭南西の横堀
「うおぉ~、凄っ!」思わず声が出てしまう。400年以上経過しているのにこれですよ、これっ!土で出来ているのにですよ、劣化してこれですから往時はいったいどんだけ凄かったことか。ここから少し北へと移動してみます↓
主郭西側の横堀
もはや言葉になりません……。凄すぎて……。何という土木量でしょうか、驚きと感動で暫くこの場所を動けませんでした。暫くして落ち着いてから主郭内部へと移動しました。
玄蕃尾城・主郭
先程の土橋を渡り、主郭南虎口から内部へと入りました。ご覧の通り、ここ主郭も周囲をグルリと一周土塁が巡らされています。ここで東南にある土塁を近くで見てみます↓
何が凄いって、見てくださいっ草がまったく生えていません。ここ主郭だけではなく、他の郭も草が無くキレイな状態が保たれていて見学がとても容易となっています。整備して下さっている方々に感謝しかありません。
主郭東側の横堀
主郭の西側にある横堀が凄かったので、その東側も見てみました↑。草木で少し分かりにくいですが、こちらの横堀も西側に匹敵する位の見事な横堀となっていました。ここから東にある「張出郭」へと進んでみます↓
張出郭内部
場所は縄張図の「張出郭」となります。もちろんの事、ここも囲み土塁で囲まれていて防御施設としての役割を果たしています。ここから主郭東側の道を進み、主郭北東の部分から横堀を見てみます↓
場所は縄張図の③となります。主郭北東隅から南側を向いて撮った写真です、ここも西側に負けず劣らずの見事な横堀でその土木量は凄いの一言。ここから主郭北虎口へと向かい主郭内部の櫓跡へと進みます↓
主郭北東・櫓台跡
この主郭北東部分の盛り上がりからは、礎石も見つかっている事から櫓台と想定されています。では、ここから北へと進み馬出へと進みます↓
主郭北・北馬出
場所は縄張図の「⑤馬出郭」となります。北郭と主郭の間にあり、こちらの馬出もまた基本的には防御が主たる任務となりますが、いざという時には打って出て敵を迎撃する防御施設となっています。
北郭・東南虎口
場所は縄張図の「⑥郭2」以下(北郭と表記)となります。北郭の東南に位置する虎口で坂虎口となっています。早速内部に入ってみましょう↓
この北郭は主郭と同等かそれ以上とも思われるほどの広さがあります。そしてここもまた他の郭と同様に郭の周囲が全て土塁で囲まれており、さらにその外周を横堀が巡り、横堀と土塁で北郭の防御施設として機能しています。
北郭・北東の横堀
場所は縄張図の④となります。主郭周囲の横堀と比べると明らかに深さは無いですが、それでも外周をしっかりとグルリと一周横堀が巡らされています。ここから北郭北西へと少し移動してみます↓
主郭ほどではないとはいえ、立派な横堀となっています。ここまでしっかりと隅々まで造られた土の城が現存している事は、まさに奇跡としかいいようがありません。
先程の場所から少し移動して北郭の西側となります。気のせいか同じ郭でもこの辺りの横堀は深さがあるように見えます。これで玄蕃尾城の散策は終了、想像以上に凄い土の城に大満足で下城しました。
スタンプ押印
スタンプ設置場所:余呉湖観光館(08:30~17:15)。福井側駐車場(冬季以外)。
スタンプの状態: " 普通 " 余呉湖観光館で押したほうがよかったか。
スタンプの印影:主郭の櫓台跡と東側の横堀。
玄蕃尾城ログ
時間:1時間7分とありますが、途中からの計測なので参考になりません。
距離:1.6km、とありますが、途中からの計測なので参考になりません。
標高・比高:標高は461m、主郭の櫓台跡が最高地点。
注意事項:駐車場から山頂までは携帯電話が圏外なので、ログを取られる方は事前に地図をダウンロードしておく事を強くお勧めします。
広域
パッと見「こんな山奥に何故?」と思ってしまいますが、北国街道が見下ろせる場所にちゃんと造られています。(城の周りは山ばっかだな…)
玄蕃尾城
見所ポイント:主郭、横堀、堀切、虎口、馬出、土塁、櫓台跡、各郭、等。
駐車場:福井県側の登城口駐車場(約7~8台)。
総評:現在の福井県敦賀市刀根に位置し、北国街道を見下ろす陸上交通の要衝に築かれた玄蕃尾城。陣城とは思えない程の土木量を誇る横堀や土塁等、現在においてもその状態の良い遺構を現存させていて、とても見応えがあります。土の城、東の代表が「杉山城」なら近畿の代表はここ「玄蕃尾城」となるのではないでしょうか?こんな素晴らしい遺構が遺る陣城、” 玄蕃尾城 ” に週末あたり訪れてみてはいかがでしょうか。