みやじ の登城備忘録

2018.4月スタートの続日本100名城スタンプラリーをメインに活動をしています。お城の散策と同時に地元B級グルメも堪能します。


お城巡りランキングクリックしてね!

駿河 小島陣屋登城!高石垣を用いた近世城郭的な陣屋~

駿河 小島陣屋

別名: 無し。

所在地: 〒424 - 0306 静岡県静岡市清水区島本町

城地種類: 陣屋。

築城年代: 1704年(宝永元年)。

築城者: 松平信治。

主な関連施設:書院建物(国道52号線沿いに移築)。

文化財史跡区分: 小島陣屋(国指定史跡) 書院建物(市指定建造物)

大手高石垣

f:id:Gorgon:20210627101502j:plain

静岡県清水市に、切込み接ぎの見事な石垣が多用された陣屋があるとの事で

行ってきました。

小島陣屋概要:

1689年(元禄2年)に松平信孝が1万石の大名となり小島藩を立藩、その後1704年(宝永元年)に信孝の跡を継いだ信治により小島陣屋が構築されました。松平信敏までの164年間、1万石の譜代大名として藩政を展開してきましたが、1868年(明治元年)に徳川家達駿府入りで松平氏は上総の国桜井へ移封となり、陣屋は廃城となりました。

 小島陣屋説明看板

f:id:Gorgon:20210627105333j:plain

ここ小島陣屋には正式な専用駐車場はありません(2021.4.4現在)。

ですが、この看板付近の道路脇に停められるスペースが2カ所程ありました。

緯度経度:35.085155,138.511390

見学路入口

f:id:Gorgon:20210627110338j:plain

先程の説明看板のすぐ近くにこちらの入口があります。

尚、地元の方に話を聞いたところ、この近くのみかん畑を行政が買い上げ、

小島陣屋専用駐車場」を造る計画があるとの事、今後に期待しましょう。

 

陣屋東側

f:id:Gorgon:20210627110957j:plain

国道からの比高は約30mとの事なので、それなりの高さを誇る小高い丘みたい

な立地となります。

 

f:id:Gorgon:20210627111405j:plain

上から見たのがこちら↑。

高さと角度があり、もう立派な城ですね。

 

f:id:Gorgon:20210627111616j:plain

陣屋の東側には、この写真のような低い石垣があるのですが、この石垣の根石

部分がコンクリート製になっていたので、この辺りの石垣は近代の整備事業

で積まれた石垣だと思われます。(説明看板等は無い)

大手門付近の石垣

f:id:Gorgon:20210627112144j:plain

この辺りから " 切込み接ぎ " の石垣が見れるようになってきます、良く見ると

石垣の中段が亀甲積っぽくなっているのが、見てとれます。

主郭の石垣

f:id:Gorgon:20210627112634j:plain

ここからグルっと西側から稲荷跡へと進むのですが、その前にこのまま南下し

て枡形虎口大手の高石垣を見に行きます。

因みにこの写真右手の石垣は、近代の修復で積まれた石垣となります。

陣屋南東の大手口

f:id:Gorgon:20210627113246j:plain

こちらが陣屋の南東にある大手口、本来の入口となります。

この辺りに駐車場は無いので、車は北側に停めてから歩いてここまで来ます。

大手石垣

f:id:Gorgon:20210627113807j:plain

昔の写真を見ると、この辺りは畑になっていて現在のように綺麗に整備されて

いません。(整備が進んで陣屋が見学しやすくなっています)

 

大手高石垣

f:id:Gorgon:20210627114144j:plain

ここ小島陣屋において、絶対に見逃せない見所ポイントのひとつだと思う高

石垣となります。

高さ、反り、美しい切込み接ぎ」と、造り手は見せつけてきますね。

ここでいったん引き返して、虎口へと向かいます↓

 

f:id:Gorgon:20210627114836j:plain

石垣造りの枡形虎口です、しっかりとした近世城郭の様相を呈しています。

ここから主郭の石垣へと向かいます。

主郭南側の石垣

f:id:Gorgon:20210627115329j:plain

主郭に用いられている石垣の石は、やはり一つ一つが大きくて迫力があります。

陣屋という名前ですが、もはや立派な " " です…。

 

f:id:Gorgon:20210627115732j:plain

石垣の天端部分のクオリティーが……。

しょうがないんです、色々と事情があるんです。

 

f:id:Gorgon:20210627120341j:plain

石垣を間近で見てました、使用されている石材は大きくて迫力があります。

そして、しっかりと化粧も施されていますね。

 

f:id:Gorgon:20210627120629j:plain

見事な石垣です、このように主郭はもちろんのこと、城南側の緩斜面に3段に

もわたり石垣が積まれ、小島陣屋が総石垣造りであったことがうかがえます。

 

主郭南西部の石垣

f:id:Gorgon:20210627121042j:plain

こちらは主郭の南西部に位置する石垣ですが、隅石部分に注目です!

1つの石を「くの字」に加工して積まれいます。(2つの石で積めば楽なのに)

こだわってますねぇ~!(こういうこだわり、大好物です)

 

f:id:Gorgon:20210627121635j:plain f:id:Gorgon:20210627122217j:plain

" 切込み接ぎの亀甲積 " で化粧施しとなっています。

1万石の大名としては、かなり気合入れて造った感じです。

 

くの字型の隅石

f:id:Gorgon:20210627122521j:plain

主郭南西部の石垣ですが、こちらも先程と同様に隅石が " くの字 " に加工され

て積まれています。

近づいて間近かで見てみましょう↓

 

f:id:Gorgon:20210627122811j:plain

折れ曲がり具合は、先程の隅石ほどではありませんが、しっかりと"くの字"に

加工されているのが見て取れます。(手間かけてます!)

ここでいったん、大手まで戻り城の南端から西端を川沿いに見てみます↓

 

3段の石垣

f:id:Gorgon:20210627123738j:plain

城の南端から見た陣屋となります。

石垣が3段に積まれ、それぞれの曲輪を隔てているのが見て取れます。

 

書院跡

f:id:Gorgon:20210627124026j:plain

現在、書院建物(小島公会堂)は国道52号線沿いに移築されていますが、地元

の方の話によると、この小島陣屋の書院跡に現在の場所から再移築する計画が

あるとの事。(2021.4.4に聞いた話)

専用駐車場と書院の移築と、どちらも実現される事を切に望みます。

 

井戸跡

f:id:Gorgon:20210627124657j:plain

鉄格子状のフタが厳重な井戸跡となっています。

深さはそれほどでもないのですが…。(安全第一ですね)

 

稲荷跡

f:id:Gorgon:20210627190033j:plain

この稲荷跡なる場所についての記述や、説明看板等は一切ありませんでした。

なので、この場所が何故4段の雛壇状になっているのか?などの疑問は当日も

そして今現在も分かりません。

 

西側・別当沢沿いの石垣

f:id:Gorgon:20210627191109j:plain

ここ小島陣屋は城の(もう城って言っちゃってる)北西から南までをグルリと

別当沢という天然の水堀(川)に囲まれ守られています。

そしてその川沿いにはしっかりと石垣(石積かも?)が積まれ、城(陣屋)の

防御施設となっています。

 

f:id:Gorgon:20210627191731j:plain

この部分は川から曲輪までの高低差が低いので、石垣(石積)は垂直に1段と

なりますが、ここ(北西)から南側までの高低差がある部分は、垂直に2段の

石垣(石積)がつまれ、城の防御施設として機能しています。

駿河 小島陣屋

見所ポイント大手高石垣枡形虎口主郭石垣御殿書院、各曲輪、井戸跡、等。

駐車場:陣屋北側に数台。緯度経度:35.085155,138.511390 

総評:小島陣屋は甲州往還の西側に位置する標高約60mの小高い丘陵地に築かれています。その城域は別当沢(天然の水堀)と高石垣にる総石垣造りの、まるで近世城郭ともいうべき構造となっている事に驚きと感動を隠す事ができません。

江戸時代に城を持つことが許されない1万石の小大名、藩政を敷くために築かれた小島陣屋ですが、城を持つことが許されなくとも、「それ(城)に匹敵するほどの陣屋を築いてやるぞ!」という藩主達の気概みたいなものを感じました。こんな石垣が見事な小島陣屋に週末あたり訪れてみてはいかがでしょうか。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紀伊新宮城登城 ! 続日本100名城 33城目 紀伊南東部の防衛拠点・総石垣造りの城~其の弐(完)

紀伊新宮城

別名:丹鶴城・沖見城。

所在地: 〒647 - 0081 和歌山県新宮市新宮7691-1

城地種類平山城

築城年代: 1601(慶長6年)

築城者: 浅野忠吉

主な関連施設新宮市立歴史民俗資料館(スタンプ)新宮市観光協会(御城印)

文化財史跡区分: 国指定史跡

水ノ手曲輪・舟入の石垣

f:id:Gorgon:20210606102828j:plain

2017年4月6日の「城の日」に財団法人日本城郭協会が続日本100名城を発表し

ました、和歌山県からは " 新宮城 " が選ばれました。

スタンプを押したうえで登城数をカウントしたいと思います。

今回の 新宮城をもって続日本100名城、登城33城目とします。

2021.5.2登城。

新宮城概要:

1600年(慶長5年10月)浅野幸長紀伊入国、浅野忠吉が新宮領主となりました。1601年(慶長6年)に忠吉は新宮城の築城を開始、その後1615年(元和元年)に一国一城令で廃城となりますが、1618年(元和4年)に幕府の許可が下り再び築城に着手。その後浅野氏は三原へ移封、代わりに水野氏が新宮に入り新宮城の築城工事を継続し1633年(寛永10年)に水野氏の新宮城が完成しました。新宮城は総石垣造りの近世城郭で丘陵東部に本丸と天守台があり、熊野灘沖を行き来する船を見ることができたことから、沖見城とも呼ばれていました。紀州藩付家老水野氏が代々城主を務め、明治維新に廃城となりました。

新宮城案内図

f:id:Gorgon:20210606222437j:plain

こちらの案内図を参考にして、新宮城をレポートしていきます。

其の弐では本丸南側(屏風折)~出丸~水ノ手曲輪~二の丸南とレポートして

いきます。

尚、前回(其の壱)の記事はこちら↓

gorgon.hatenablog.jp

 本丸南側の高石垣

f:id:Gorgon:20210606104128j:plain

其の壱でも紹介したとおり、横矢掛の高石垣が素晴らしいですね。

時間が経つのを忘れ、見入ってしまいました。

 

f:id:Gorgon:20210606104548j:plain

隅石の迫力と、稜線の美しさが青空に映えますね。

権力・財力・技術力があっての高石垣ですね。

 

矢穴と刻印

f:id:Gorgon:20210606105303j:plain

ここ新宮城は総石垣造りの城なので、至る所に石垣や石積、転がっている石材

等があるので、この様な矢穴や刻印のある石を見る事ができます。

(この石は矢穴と刻印、両方ありますね!)

 

排水樋を下から

f:id:Gorgon:20210606105954j:plain

場所は案内図のCとなります。

和歌山城にも同じ物があったのを思い出します。

そのまま出丸方面へ進んで行きます↓

 

橋の跡

f:id:Gorgon:20210606110339j:plain

場所は案内図のDとなります。

発掘調査の結果、出丸と本丸は橋で繋がっていた事がわかったそうで、その

橋の架かっていた部分が今は石で埋められています。

 

出丸からの眺望

f:id:Gorgon:20210606110918j:plain

この出丸は隣接する熊野川熊野灘をよく見渡せる位置にあるので、見張り

台の役目も担っていたのかもしれません。

とにかく風が気持ちよく、最高の景色なので新宮城へ来たらここ(出丸)へ

立ち寄り、心地よい風と景色をご堪能下さい。

 

f:id:Gorgon:20210606111711j:plain

出丸の西側に排水樋を見つけました。

 

矢穴?

f:id:Gorgon:20210606112137j:plain f:id:Gorgon:20210606112213j:plain

本丸の西北西辺りの石垣に、こんな石がありました。

なぜに1つだけ?

次に熊野川沿いにある、水ノ手曲輪へと進みます↓

 

水ノ手曲輪

f:id:Gorgon:20210606112815j:plain

場所は案内図の⑦となります。

この辺りからは平成6年度の発掘調査で、多数の礎石建物群跡が発見されました。

建物跡の床面には、砂利が敷かれ炭の粉が堆積していたことから、1万俵もの

炭俵が収納可能な「炭納屋群」と想定されました。(説明版より引用)

 

f:id:Gorgon:20210606113633j:plain

城内消費用としては多すぎる数量であるため、熊野川流域の新宮炭(備長炭

を専売していた新宮城主、水野氏の対外的な経済活動用の施設であると考え

られています。(説明版より引用)

 

舟入

f:id:Gorgon:20210606114603j:plain

新宮炭(備長炭)を沢山積だ船が、熊野川から海へ出て各方面へ出荷されて

行ったのか…。(感慨深いな…)

 

f:id:Gorgon:20210606115516j:plain

場所は案内図のEとなります。

熊野川に面した水ノ手は、幕府が諸藩に命じて提出させた「正保城絵図(紀

伊国新宮城之図)」にも描かれており、築城当初から新宮城の重要な施設と

して機能していたと考えられています。(説明版より引用)

 

f:id:Gorgon:20210606120137j:plain

「新宮領にとって、とても重要な収入源だっんだろうな。」

そう思わせる程に、しっかりと造られた舟入でした。

 

舟入からの熊野川

f:id:Gorgon:20210606120552j:plain

舟入からふと、振り返り熊野川を見た時の写真がこちら↑

川の色がエメラルドグリーンですよっ!

なんと美しい景色でしょうか!

 

f:id:Gorgon:20210606121036j:plain

あまりに美しい舟入の石垣に、すっかり魅了されてしまいました。

「あ~、また来たいな~」と、思わせる水ノ手曲輪の舟入でした。

ここで、矢穴や刻印を探すために鐘ノ丸(二ノ丸)の南側に移動します↓

 

鐘ノ丸南側

f:id:Gorgon:20210606121750j:plain

場所は案内図のF~Gの間となります。

ここ新宮城の石垣は、人目につく場所の石垣の石は化粧が施され、矢穴や刻印

はそれ程見かける事がありません。

 

f:id:Gorgon:20210606122330j:plain

でも、あまり人が通らない場所や人が立ち入らない場所については、矢穴や

刻印を多数確認する事ができました。

 

f:id:Gorgon:20210606122728j:plain

ここ新宮城には、〇・△・✝ などの刻印が城内に69カ所あるとの事。

その「刻印マップ」なるものがあれば(マニア向け)嬉しかったなぁ~。

 

下城

f:id:Gorgon:20210606182420j:plain

これで新宮城の散策は終了、下城しました。

 

スタンプ押印

f:id:Gorgon:20210606183034j:plain

スタンプ設置場所新宮市立歴史民俗資料館:33.72788 ,135.99737

スタンプの状態 " 屋内管理なので状態は良い。

スタンプの印影:石垣造りの枡形虎口。

 

ご当地グルメ

f:id:Gorgon:20210606183652j:plain

 さんま姿寿司:

さんまを用いた押し寿司で、三重県志摩半島から和歌山県に至る熊野灘沿岸一帯で食べられる。主に祝い事や祭りなどの際に作られる郷土料理。(Wikipediaより引用)

めはり寿司

和歌山県三重県にまたがる熊野地方を中心とした吉野地方の郷土料理。高菜の浅漬けの葉でくるんだ弁当用のおにぎり。弁当は熊野名産とされ、新宮市のものは特に有名であり、和歌山県の特産品として和歌山県推薦優良土産品に指定されている。

Wikipediaより引用)

 

御城印

f:id:Gorgon:20210606190025j:plain  

御城印販売場所:新宮市観光協会新宮駅前9時~17時)

        阿須賀神社 社務所(歴史民俗資料館横)

御城印のサイズ:通常サイズ。(日付は入りません)

御城印の値段¥:一枚300円。

紀伊新宮城

見所ポイント本丸、鐘ノ丸、松ノ丸、出丸水ノ手曲輪屏風折れの石垣、排水樋。

駐車場:① 丹鶴公園駐車場(無料)緯度経度:33.729593,135.992279

    ② 観光専用駐車場(無料)緯度経度:33.729693,135.990275

総評:ここ新宮城は紀伊半島の南東に位置し、熊野川の河口付近の山上に築城された総石垣造りの近世城郭となります。個人的に見所だと感じたポイントは主に3つ、①化粧が施された切込み接ぎの高石垣、②新宮炭(備長炭)の専売を物語る炭納屋跡と舟入の石垣群。③本丸や出丸からの眺望、特に出丸からの景色は最高です。もちろんこの3つ以外にも矢穴や刻印、排水樋など見所は沢山あり、ご当地グルメの「さんま姿寿司」も美味でした。こんな見所満載、景色も最高の新宮城へ週末あたり訪れてはいかがでしょうか。(もう一度訪れたい、心の底からそう思わせてくれる新宮城と城下町でした)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

記事が気に入った方はクリックして下さい。
お城巡りランキング