杉山城
別名:初雁城
城地種類: 平山城
築城年代: 不明?
築城者: 不明?
主な関連施設:嵐山町役場(スタンプ&パンフレット)
文化財史跡区分: 国指定史跡
屏風折
2017年4月6日の「城の日」に財団法人日本城郭協会が続日本100名城を発表
しました、埼玉県からは忍城・菅谷館・そして" 杉山城 " が選ばれました。
スタンプを押したうえで登城数をカウントしたいと思います。
今回の杉山城をもって続日本100名城、登城 32城目とします。
2020.12.6登城。
杉山城概要
杉山城は武蔵比企郡にあった中世の山城で、鎌倉街道を見下ろす丘陵の尾根上に造られています。およそ10にも及ぶ曲輪を配置し、横堀・竪堀・連続する折・枡形虎口・馬出など実に高度な築城技術を用いて築城された土の城となっています。
今まで築城年代が不明でしたが、発掘調査により15世紀末から16世紀前半の土器や陶磁器が出土した事などから、山内上杉氏が扇谷上杉氏に対抗するために築城した城であった可能性が高いとする説が有力となっています。
杉山城縄張図
「其の弐」でも、こちらの縄張図を参考にレポートしていきます。
尚、其の壱のレポートはこちら↓
本郭南端
本郭の南端はこの様に、細長く突き出た形になっています。
これにより堀の部分が凹の形となります。
井戸郭からみる井戸跡
本郭の南裾に位置する井戸跡を守るためにあると思われるこの井戸郭ですが、
それ以外にも本郭への入り口(虎口)と木橋で繋がっていたことがわかって
います。(縄張図の③)
本郭南側の切岸
井戸郭からみた本郭の切岸と、それをとり巻く空堀の構図となります。
現在ではこんな感じですが、往時はきっと凄かったはずです。
ここで一旦、南二ノ郭の北端へと移動します↓
本郭南東の切岸となります、直線的ではなく僅かに弧を描くような曲線を伴っ
た造りとなっています。
本郭東虎口
発掘調査ではこの部分に石積があった事が判明しているそうです。
ただ、崩れた状態だったので廃城の際に破壊された可能性が高いとの事。
本郭
なかなかの広さの本郭です、正面に城址碑と看板があるので見に行きます。
太陽の日差しが強い…。
説明看板を見てみましょう↓
この説明看板、どうやら国指定史跡になる前に立てられたものらしい…。
本郭の北端
本郭と北二ノ郭とを隔てる堀切と切岸になります、ただ堀切といってもスパッ
と直線的に切るのではなく、コの字型にしてあります。
本郭東側
本郭の東側から、東二ノ郭と東三ノ郭方面を眺めてみます。
東二ノ郭の堀と切岸が、ここから見ても凄いのがわかりますね。
そのまま本郭の南端まで行ってみます↓
それにしても、しっかりと整備が行き届いていて見学しやすいですね、地元の
ボランティアの方々や、私有地を開放してくださっている地主さんにも感謝
しかありません、ありがとうございます。
東二ノ郭・土塁
良いですね、この高さと角度がたまりません。
ここで、東二ノ郭~東三ノ郭へと進んでいきます↓
東三ノ郭からみた東二ノ郭の虎口となります。
この東二ノ郭は、堀や切岸がしっかりとしている(深さや高さ)ので、本郭の
北東方向を守るとても重要な郭だったのかもしれません。
東三ノ郭
こちらの東三ノ郭は、東二ノ郭と比べると、堀や切岸の深さや高さがあまりな
く、防御の観点からみると?マークが付く。
郭が完成する前に廃城となってしまったのか?
三ノ郭の北東端はこんな感じです。
これで東二ノ郭と三ノ郭の散策は終了、いったん本郭まで戻ります↓
本郭北虎口
本郭の北虎口となります、場所は縄張図の④です。
説明看板があったので見てみましょう↓
イラストがとてもわかりやすくて良い説明看板ですね。
ここである事に気が付く、城兵の旗が「三つ鱗」だという点です、ほぅ…。
北二ノ郭からみる本郭切岸
写真ではそれ程でもないような切岸ですが、肉眼で見るとなかなかの代物です、
現地にて肉眼でご覧ください。
本郭の北西に位置する郭で、北西方向の尾根筋を守るうえでとても重要な郭
であったと思われます。
北三ノ郭
搦手口からみた北三ノ郭となります、堀は埋まりかけてますが土塁はかろう
じて形をとどめています。
これで杉山城の散策は終了、次の城へと向かいました。
杉山城ログ
時間:1時間50分、距離:2.8km、比高:89m(駐車場からの比高)
消費カロリー:796kcal、山城ではないのに消費カロリーが良い感じです。
スタンプ押印
スタンプ設置場所:嵐山町役場1階。
スタンプの状態: " 普通 " 屋内管理なのだが…。(文字のかすれが発生)
スタンプの印影:パンフレットの表紙ですね。
杉山城
見所ポイント:本郭、各郭群、横堀、竪堀、切岸、屏風折、土塁、各虎口、井戸、等。
駐車場:杉山城専用駐車場(36.064738, 139.315026 )
総評:ここ杉山城は、小高い丘陵地に造られた平山城で、堀や土塁を屈曲させ横矢掛を多用するのが特徴のひとつとなっており、まさに土の防御施設としての完成度の高さを現在に伝えています。
それ程大きくない縄張内にぎっしりと詰め込まれた土の防御施設は、とても技巧的かつ繊細で、見る者の心を鷲づかみにして離さない、まさに土の最高傑作だと思いました。
「築城の教科書」、「戦国期城郭の最高傑作」などと評価されるここ杉山城に週末あたり訪れてはいかがでしょうか。