みやじ の登城備忘録

2018.4月スタートの続日本100名城スタンプラリーをメインに活動をしています。お城の散策と同時に地元B級グルメも堪能します。


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伊豆 鎌田城登城!技巧的な遺構を現代に伝える山城~

伊豆 鎌田城

別名: 無し。

所在地: 〒414 - 0054 静岡県伊東市鎌田。

城地種類: 山城。

築城年代: 不明?所説あり。

築城者: 鎌田新藤次俊長と云われているが所説あり。

主な関連施設:奥野ダム駐車場(トイレ・自販機あり)。

文化財史跡区分: 市指定史跡

帯郭東側の大堀切

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伊豆半島伊東市に、中世頃に築かれ戦国期以降に改変されたであろう技巧的な

遺構を遺す " 鎌田城 " という山城があるというので、行ってきました。

鎌田城概要:

一説によると、鎌田城は鎌田新藤次俊長によって築かれたと云われていますが、定かではありません。さらに、伊東氏が北条早雲の伊豆侵攻に備えて縄張を再構築したが、早雲に攻められ落城し廃城になった等、色々云われてはいますが、はっきりとした事は分かっていません。ただ、戦国期以降に改変されたと思われる技巧的な防御施設(遺構)が良好な状態で残存している、見所のある山城となっています。

 

鎌田城縄張図

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鎌田城の主郭にあったこちらの縄張図を参考にレポートしていきたいと思います。

 

奥野ダム駐車場

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 ここ鎌田城跡は主に2つのルートがあります。(東側のルートは現在未使用)

① 城の北側、八代田バス停付近から登るルート。

② 城の南側から入り、西側から沢伝いに登るルート。

今回も車で来ているので、奥野ダム駐車場(トイレ・自販機あり)に車を停

めて②のルートで登ることにしました。

 

登城口付近にある看板

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駐車場を下っていき、トンネルの先左にある広場と鰻屋の間にこちらの看板

があり、この看板の奥(広場)に登城口があります。

登城口 緯度経度:34.939872,139.071897。

 

城跡手前にある鉄塔

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登城口から山道を沢伝い(正確には沢の中)に30分程度登って行くとこちらの

鉄塔が現れます。

ここまでくればもう安心、城跡へは5分とかかりません。

 

西側尾根の段差

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 先程の鉄塔から尾根筋を登って行くと、こちらの段差が現れます。

場所は縄張図の①

最初に現れる人工的に造られた土の施設、ここから先が城域となります。

 

馬出と竪堀

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場所は縄張図の②となります。(南側から撮影)

当初、3重堀切かと思っていたのですが、よ~く見ると " 2重堀切+1 " だとい

う事に気が付く。(一つ目の馬出部分が堀切に見えた)

 

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縄張図の「20」と書かれている、1つ目の馬出から西側を撮影したのがこちら↑

 

1条目の堀切

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場所は縄張図の③となります。

重ね馬出に挟まれる形で存在する、連続堀切の1条目です。

 

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先程の堀切を縄張図の「19」(馬出)から撮影のがこちら ↑

 

2条目の堀切

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2条目の堀切を上(東側)から撮影したのがこちら ↑

 

 

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場所は縄張図の④となります。

この堀切は写真の左側が横堀のような感じで南側へ行き、そこから南西方向

へと " L " 字に曲がりながら竪堀として下っていくという構造になっています。

連続堀切に重ね馬出という、とても技巧的な造りに早くもテンションが上が

ります。

主郭北側にある神社

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 こちらの神社は主郭の北側に位置しており、2の郭、3の郭と隣接する部分に

建てられています。

この神社を建立する際に、おそらく堀と土塁の一部が破壊された可能性が高い。

 

鎌田城説明看板

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主郭にこちらの説明看板が設置されています。

文字の部分をアップにしてみます↓

 

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築城年代や築城者については、不明な点が多いためか記載がありません。

 

6の郭からの眺望

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主郭の西に位置する腰郭で、場所は縄張図の⑤となります。

この郭と主郭とを隔てる堀切と竪堀があるのですが、現在ではほぼ埋まりかけ

ており、目視で確認はできますが写真には上手く写りません。

7の郭とその北側にある竪堀は確認できましたが、その先にある8の郭と堀切は

道が無く、急斜面のため確認できませんでした。

ここで、西側の散策を終え城の東側へ移動します ↓

 

2段構えの横堀&土塁

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城の南西に位置する、10の郭の先にこちらの2段構えの横堀があります。

10の郭上から見下ろした写真です、見事な横堀と土塁が三日月状に展開して

います。

下へおりて確認してみましょう↓

 

上段の横堀

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場所は縄張図の⑥となります。

高低差を利用して、横堀を2段構えにしてあるこちらの遺構は、とても見応え

があります。(北側の土橋部分から撮りました)

 

下段の横堀

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場所は縄張図の⑦となります。

 こちらが下段の横堀を土橋から撮った写真です、写真右側にあるのは土塁で

高さが良い感じですね。

 

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2段構えの横堀&土塁を全て1枚のフレーム内に収めようと試みましたが、まっ

たく収まりませんでした。(この下段横堀のアップでご勘弁…)

 

下段横堀・南側の竪堀

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 縄張図には、下段横堀の南に大きな竪堀が書いてあるのですが、行ってみたら

ご覧の通り、斜面の土が柔らかいのでほぼ埋まりかけていました。

これで南東の散策は終了、城の北東にある大堀切を見に行きます ↓

 

城の北東・5の郭

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城の北東に位置する " 5の郭 " となります、この帯郭の下(東)にまるで横堀

みたいな大堀切があります。

 

北東の大堀切

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場所は縄張図の⑧となります。

帯郭の東側に展開するこちらの大堀切、最初に見た時「でかい横堀だなぁ~」

と思ったのですが、地形と縄張図をよく見ると尾根を遮断した堀切だとわかり

ました。

 

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大堀切を南側から撮った写真となります ↑

この堀切は南へと、そのまま横堀のような形で継続していきます。

因みにこの堀切のサイズは、深さは8m~9m、幅は14m~16m、長さは30m

~35m、位のサイズに感じました。(あくまでも目測です)

 

鎌田城ログ

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城域は狭いのですが、道のりがそれなりにあるので距離は3.4kmありました。

じっくり見ながらの散策でしたが2時間程度なので、気軽に行ける感じですね。

 

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この様にぐるりと西側から回り込む形で登って行きます。

 今回は、別ルートで下ってしまうと駐車場まで戻るのが大変なので、大人しく

来た道を戻り、駐車場へと戻りました。

伊豆 鎌田城

見所ポイント連続堀切&重ね馬出北東大堀切2段構えの横堀、竪堀、眺望、等。

駐車場:奥野ダム駐車場20台以上駐車可(トイレ・自販機あり)

総評:15世紀よりも前に築城された可能性もあるここ鎌田城ですが、現在残存する遺構はとても近代的で技巧的な造りの部分が多数あるなど、とても興味深い城跡となっています。あくまでも私見ですが、戦国中期以降にある勢力によって改変されて使用されていたのではないか?と思いました。廃城後も奥深い山の山頂という立地条件のためか、開発による破壊がそれほど無く、遺構の保存状態が良いので往時の山城の姿を知るうえでとても貴重な城跡となっています。こんなコンパクトなのに見所が多い 、" 鎌田城 " に週末あたり訪れてみてはいかがでしょうか。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平井金山城登城!関東管領山内氏の詰城~

平井金山城

別名: 平井詰城

所在地: 〒375 - 0045 群馬県藤岡市下日野字金井

城地種類: 山城

築城年代: 永享10年(1438年)頃

築城者: 長尾忠房?

主な関連施設:無し

文化財史跡区分: 県指定史跡

案内看板

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埼玉県の虎ヶ岡城、御嶽城、雉岡城を攻略し翌日時間があったので、前から

行きたかった群馬県の " 平井金山城 " へ行ってきました。

平井金山城概要:

長尾忠房が関東管領上杉憲実のために、標高326mの尾根筋に築城したといわれていますが、定かではありません。 平井詰城とも呼ばれ、関東管領山内上杉氏の居城である平井城の詰めの城と考えられています。

縄張図

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駐車場にあった案内看板に描かれているこちらの縄張図を参考に、平井金山城

をレポートしていきたいと思います。

 

駐車場

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こちらの駐車場に車を停めて登城します、ナビのセットは藤岡市立日野小学校

にセットしましょう。(10台以上駐車可)

 

尾根筋到着

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ゆっくり登って30分位でしょうか、尾根筋へと到着しました。

左へ行けば本郭、右へいけば物見台となります、まずは物見台から↓

 

物見台跡

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場所は縄張図の①となります。

現地の説明看板によると、ここに物見の為の櫓があったと書かれています。

その看板にこんな詩が書かれていました↓

見渡せば 関八州も 一眺め 筑波の山の 見ゆる日もあり

風流ですな…、よく分らんけど。

 

堀切

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物見台跡から西に進むと、すぐに現れるのがこちらの堀切。

経年劣化で鋭さや深さはありませんが、その存在を確認するのには十分です。

 

虎口

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場所は縄張図の②となります。

石積の跡が見受けられるので、かつてここには城門があり、堅固な虎口であった

であろうと予想されます。

 

段郭を下から

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この辺りは高低差を利用した3段の段郭が展開し、それぞれの郭に虎口が設け

られ、防御の要としています。

 

本郭跡

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先程の段郭部分から西へと進んで行くと、こちらの本郭に到着します。

因みにこの本郭の南側に " 大石垣 " があるというので見に行きましたが、ただ

の大きな岩があるだけでした。

 

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本郭の周りは樹木が生い茂っており、眺望は良くありません。

本郭の西側に曲輪が2つあるので、見に行きます↓

 

本郭西側

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場所は縄張図の③となります。

曲輪を占拠するこちらの建物は、休憩所を兼ねた雷除けの避難小屋だそうです。

 

 

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先程の小屋のある曲輪から、西側すぐ近くにある曲輪となります。

西側の城域はここまでで、この先は急斜度の崖みたいになっています。

 

本丸北の大堀切

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場所は縄張図の④となります。

本郭の北側に小さな腰郭があります、その下(北側)に本郭北側をとり巻く通路

のような空間があり、その通路(虎口)と向かって北側にある曲輪とを分断

する大堀切がこちらの写真です。(通路西側から撮影)

 

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先程の大堀切にある土橋から南側(本郭側)を撮った写真がこちら↑

まず大堀切で守られ、その先が虎口に守られ、そのすぐ後ろ(北側)の腰郭

から攻撃され、更にその後ろ(本郭)からも攻撃されるという、「ここから先

(本郭)には行かせない!」という強い意思を強烈に感じます。

 

大堀切北側の曲輪

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先程の大堀切北側の曲輪となります、ここはこの城の中でもかなりの大きさ

を誇る曲輪となります。

 

北西の堀切

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先程の曲輪から北へ5つの段郭があるのですが、これについては土の遺構が劣化

しており、写真で伝える事が難しい。

場所は縄張図の⑤となります。

堀切の左右は竪堀となっていますが、ほぼ埋まりかけています。

 

井戸跡

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こちらの井戸跡は、平成9年に発掘調査が行われました。

尾根上からの深さは約3m程あり、東西に長い長方形をしていたそうです。

(説明看板より抜粋)

その説明看板がこちら↓

 

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矢穴はしっかりと確認しました。

 

櫓門跡の南西部分

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場所は縄張図の⑥となります。

この部分は本来細部にまでこだわって造られた可能性がある防御施設なのです

が、土の遺構が経年劣化しており、その形や思惑がいまひとつ把握できません

でした。

 

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先程の凝った造りの土の遺構部分において唯一理解できたのが、こちらの堀切

です。(西側から撮りました)

ここから平場を通り北へ進むと櫓門跡があります↓

 

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廃城になった際に破却されたのでしょうか?

僅かにのこる石積の跡と土塁が、往時ここに櫓門があったであろう痕跡として

今もなおこの場所に残っています。

 

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櫓門跡の北側部分の石積となります、石積はここから直角に折れて北側へと

続いていきます。

 

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場所は縄張図の⑦となります。

この石積部分が土台となり、この上に " " が築かれていたはずです、それが

板塀なのか土塀なのかは分かりませんが…。

 

 

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この標高300m以上を誇る山城で、ここまでしっかりとした石材を使用し、石積

を施している辺りはやはり関東管領の権力と財力が関係しているのかな?と、

思いました。

 

石積で囲まれた曲輪

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先程の石積で囲まれた曲輪となります。

この部分は、大手筋の守りの要として機能するためにこの広さが必要だった

のでしょうか?

ここから尾根筋を北東へと移動し、櫃岩へと向かいます↓

 

櫃岩手前(南西)の堀切

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櫃岩の手前にある堀切ですが、やはりかなり埋まってしまっています。

 

 

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尾根筋の北東端付近にある大きな岩で、この岩の上からは城の北側が一望でき

たはずです。(現在は樹木が邪魔してほとんど見渡せません)

 

平井金山城ログ

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竪堀を見るのを忘れたのに距離が2.4kmあり、消費カロリーが900kcalでした。

なかなかの山城で、良い運動となりました。

 

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平井金山城周辺の地図です、この城の置かれている状況が把握できます。

平井金山城

見所ポイント石積各段郭群(東と北)、井戸跡、④の防御施設群櫓門跡、等。

駐車場藤岡市立日野小学校の道向かいに専用駐車場(10台以上駐車可)。

総評関東管領山内上杉氏の詰城であった、とされている平井金山城ですが、関東管領の名に恥じぬ見事な山城となっています。まず尾根筋に展開する段郭群ですが、各曲輪の虎口部分が石積を用いており、そのうえ坂虎口で廻りこむように造られています。他にも④の部分の複雑な土の防御施設櫓門跡、櫓門跡横の塀の基礎石積等、とても技巧的でしっかりと造りこまれた遺構の数々は、この山城を訪れた者を感動させるのに十分な価値と魅力を兼ね備えています。この群馬県の宝ともいうべき山城、" 平井金山城 "  へ週末あたり訪れてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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